宮城県男女共同参画推進条例が可決されました!!

 2001年6月28日(金)午後3時23分、宮城県議会本会議で「宮城県男女共同参画推進条例」が
全会一致で可決、成立しました。
 この条例は8月1日から施行され、同時に広く住民の意見を聞きながら、基本計画の策定を行う
予定になっており、宮城県のHPにも、宮城県男女共同参画推進条例に関して掲載を計画して
いるとのことです。
 私たちは条例成立に向けて市民団体の1つとして、「宮城県男女共同参画条例(仮称)
早期成立の要望書を提出」
しましたが、
このアクション後に新みやぎ創造運動対策特別委員会の委員長のゆさみゆき議員は
「議会内で男女共同参画を推進しようという気運の風が強まった。」とコメントしています。
 1999年に成立した国の男女共同参画社会基本法に基づき、2001年4月の時点では
東京都や埼玉県、山口県、三重県、岩出山町(宮城県)など17の自治体で条例を可決しています。
(女性ニューズ、2001年4月30日、三井マリ子さんのレポートより)

宮城県男女共同参画推進条例

前文
 全ての個人は性別に関わりなく、人として平等な存在であり、男女は、その違いを
認めつつ、互いの人権を十分に尊重しなければならない。 宮城県においては、
男女平等の実現に向けて、男女共同参画推進プランの策定をはじめ、様々な取り組みが
なされてきた。しかしながら、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく
社会慣行が存在している現況から、あらゆる分野での男女平等と男女共同参画社会の
実現を目指すには、県、県民及び事業者が一体となり総合的に取り組むことが
重要である。 
 少子高齢化の進展等社会経済構造の急激な変化が進む中で、県民が真に豊かで、
安心とゆとりのある生活を実現していくためには、男女が共にその個性と能力とを
十分に発揮できる環境が整備されなければならない。男女が、性別にとらわれる
ことなく、共に対等な立場に立って、労働、家庭生活、地域活動などをバランスよく
営むことができる新しい生活文化を創造することこそが、今強く求められている。
 すべての県民の人権が平等に保障され、男女が共に責任を分かちあう社会を
構築していくため、男女共同参画社会の早期実現を目指すことを決意し、
ここに、この条例を制定する。
第一章	 総則

 第一 目的
 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、宮城県(以下「県」と
いう。)、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、県の施策の基本的事項を
定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進し、もって
新しい生活文化を創造し、真に豊かで活力のある地域社会の実現に寄与することを
目的とする。

 第二 定義
 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって
社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に
政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受でき、かつ、共に責任を担うべきことを
いう。
 二 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な
範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
 三 セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方の生活環境を害すること
又は性的な言動に対する相手方の対応によってその者に不利益を与えることをいう。

 第三 基本理念
 男女共同参画の推進は、男女が平等に個人としての尊厳が重んぜられ
ること、男女が直接的であるか間接的であるかを問わず性別によっていかなる差別的な
扱いも受けないこと、あらゆる分野において男女が共に個人としての能力を均等に
発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が平等に尊重されることなどを
旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画の推進に当たっては、固定的な性別役割分担意識に基づく制度又は
慣習その他の社会的制約が、男女の主体的で自由な活動の選択に対して影響を及ぼす
ことのないよう配慮されなければならない。
3 男女共同参画の推進は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、
家事、育児、介護その他の家庭生活における活動と社会生活における諸活動に積極的かつ
平等に参加し、両立できることを旨として、行われなければならない。
4 男女共同参画の推進は、男女の生涯にわたる性と生殖に関する健康と権利が尊重され
ることを旨として、行われなければならない。
5 男女共同参画の推進は、配偶者その他の男女間におけるあらゆる暴力的行為
(身体的又は精神的な苦痛を著しく与える行為をいう。以下同じ。)の根絶を旨と
して、行われなければならない。
6 男女共同参画の推進は、国際社会の目指すべき理想のひとつであることにかんがみ、
広く世界に向けた視野に立って積極的に行われなければならない。

 第四 県の責務
 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、
男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を
総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、男女共同参画の推進に当たり、市町村、県民及び事業者と連携及び協働して
取り組むよう努める。
3 県は、市町村に対し、男女共同参画の推進に関する計画の策定や施策等に関し、
技術的な助言、情報の提供その他の必要な措置を積極的に講ずるよう努める。
4 県は、第一項に規定する施策を推進するために必要な体制を整備するとともに、
財政上の措置その他の措置を講ずるよう努める。

第五 県民の責務
 県民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野の
活動に自ら積極的に参画するとともに、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に
協力するよう努めるものとする。

第六 事業者の責務
 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女共同参画の
推進に自ら積極的に取り組み、男女が共同して事業活動に参画することができる体制及び
職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立して行うことが
できる職場環境を整備するよう努めるものとする。
2 事業者は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

第二章 基本的施策
第七 男女共同参画推進のための基本計画
 知事は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、
基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」
という。)を策定する。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定める。
 一 総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画の推進に関する施策の大綱
 二 前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する施策を
  総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は、基本計画を策定するに当たっては、県民の意見を反映することが
 できるよう適切な措置を講じなければならない。
4 知事は、基本計画を策定するに当たっては、宮城県男女共同参画審議会の意見を
 聴かなければならない。
5 知事は、基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表する。
6 前三項の規定は、基本計画の変更について準用する。

第八 男女の均等な登用の推進等
 県は、附属機関を組織する委員その他の構成員の選任にあたっては、
附属機関の設置及び構成員の選任等に関する条例(平成十二年宮城県条例第百十三号)
第三条の規定に基づき、男女の均等な登用に努めなければならない。
2 県は、男女共同参画社会の推進のための教育や研修の機会を充実し、人材の養成に
努めるとともに、女性の人材に関する情報を積極的に収集、活用又は提供するよう
努めなければならない。

第九 男女の共生教育の推進
 県は、男女が生涯にわたって共に明るく生きがいのある社会を構築するために、
あらゆる教育の場を通じて人権尊重の精神を基盤とした個人の尊厳、男女平等、
男女相互の理解と協力についての意識をはぐくむよう努める。

第十 農林水産業及び自営の商工業の分野における男女のパートナーシップの確立
県は、農林水産業及び自営の商工業の分野において女性が主体性を活かし、その能力を
十分に発揮し、正当な評価を受け、対等な構成員として方針の立案及び決定の場に参画
する機会が確保される社会を実現するため、必要な環境整備を推進する。

第三章 男女の精神的・身体的権利侵害と差別の禁止

第十一 性別による権利侵害の禁止
 何人も、あらゆる場において、性別による差別的取扱いをしてはならない。
2 何人も、あらゆる場において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、あらゆる場において、つきまとい等及びストーカー行為(ストーカー行為
等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第二条第一項に規定する
つきまとい等及び同条第二項に規定するストーカー行為をいう。)を行ってはならない。
4 何人も、あらゆる場において、男女間における暴力的行為を行ってはならない。

第十二 公衆に表示する情報に関する留意
 何人も、公衆に表示する情報において、性別による役割分担の固定化又は女性に対する
暴力的行為を助長し、又は連想させる表現を行わないよう努めなければならない。

第四章	 男女共同参画の推進体制
第十三 拠点施設の整備
 県は、配偶者その他の男女間における暴力的行為の被害者の保護及び支援並びに
セクシュアル・ハラスメントの被害者からの相談への適切な対応等、当該被害者の
自立を総合的に支援する拠点施設を整備する。

第十四 調査研究
 県は、男女共同参画の推進に関する施策、社会における制度又は慣行が及ぼす影響
及び男女共同参画の推進を阻害する問題に関して必要な調査研究を行い、その成果を
男女共同参画の推進に関する施策に適切に反映させるよう努めなければならない。

第十五 民間非営利活動団体との連携及び協働
 県は、男女共同参画社会の実現のため、民間非営利活動団体
(宮城県の民間非営利活動を促進するための条例(平成十年宮城県条例第三十六号)
第二条第二項に規定する民間非営利活動団体をいう。以下同じ。)との連携及び
協働を図る。
2 県は、民間非営利活動団体が行う男女共同参画に貢献する活動について、支援及び
促進を図る。 

第十六 年次報告
 知事は、毎年、男女共同参画の推進状況及び男女共同参画の推進に関する施策の
実施状況を明らかにする報告書を作成し、議会に報告するとともに、これを公表
しなければならない。

第五章 相談及び苦情処理
第十七
 知事は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による
人権の侵害に関する県民又は事業者からの相談の適切な処理に努める。
2  知事は、県が実施する男女共同参画に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を
及ぼすと認められる施策に関する県民又は事業者からの苦情の適切な処理に努める。
3 知事は、第1項の相談及び第2項の苦情を処理するため、男女共同参画相談員
(以下「相談員」という。)を置く。
4 相談員は、次に掲げる事務を行う。
 一 県民又は事業者の相談及び苦情に応ずること。 
 二 前号の相談及び苦情を処理するために必要な調査、指導及び助言を行うこと。
5 相談員は、前項の事務を行うに当たり、必要に応じて、関係行政機関と
連携するものとする。  
 
第六章 宮城県男女共同参画審議会 
第十八 宮城県男女共同参画審議会
 基本計画その他男女共同参画に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を
調査審議するため、知事の附属機関として宮城県男女共同参画審議会(以下「審議会」
という。)を置く。
第十九 組織
 審議会は、知事が任命する委員二十人以内で組織する。 
2 男女のいずれか一方の委員の数は、委員総数の十分の四未満とならないものとする。
ただし、知事がやむを得ない事情があると認めた場合は、この限りではない。
3 委員の任期は二年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
ただし、再任を妨げない。
4 審議会に、会長及び副会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
5 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
6 会長に事故があるときは、副会長が、その職務を代理する。 

第二十 会議
 審議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 審議会は、委員の半数以上が出席しなければ,会議を開くことができない。 
3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところに
よる。 

第二十一 専門委員
 専門の事項を調査するために必要があるときは、審議会に専門委員をおくことが
できる。
2 専門委員の任期は、専門の事項に関する調査が終了するまでとする。

第二十二 運営事項の委任
 この章に定めるもののほか、審議会の組織及び運営について必要な事項は、
会長が審議会に諮って定める。

第七章 雑則 
第二十三 規則への委任
 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第二十四 この条例は平成十三年八月一日から施行する。

第二十五 附属機関の構成員等の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部改正
 附属機関の構成員等の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例(昭和二十八年
宮城県条例第六十九号)の一部を次のように改正する。
 別表に次のように加える。
宮城県男女共同参画審議会の委員及び専門委員出席一回につき11700円    八級


※参考2001年1月提案、男女共同参画条例(仮称)素案はこちら
※参考2001年4月1日施行 宮城県岩出山町いわでやま男女平等推進条例はこちら
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