「民法改正審議促進を望む声に多くのご意見」、ありがとうございました  


 皆様からお寄せいただいた、「民法改正の早期審議を求める声」を、
本日、10名強の女性衆議院議員に手渡してきました。また、廊下で
すれ違った公明党の冬柴幹事長にもお渡ししました。
 73名もの方々の声からなる、41ページもの冊子、質・量ともに重
みを感じていただけるものと思います。

 残念ながら、女性与党議員は森山真弓さんと池坊保子さんだけでしたが、
「女提協」の中でご検討いただく第一歩だと思います(森山さんは委員
長)。 今後、議員の他、報道関係や有識者などに幅広く配布していきたいと
思います。「これは」という配布先がありましたら、ぜひご教示下さい。

 なお、後日、ご希望の方には冊子をお送りできるよう手配する予定です。
メドが立ちましたらご案内いたします。以下に、前文のみご紹介いたします。
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はじめに
 この数年、民法改正法案は、私たち一般市民には理由の分からぬまま、
国会での審議未了・廃案が繰り返されてきました。この間に、雇用機会
均等法および労働基準法の改正、雇用流動化の進展と雇用形態の多様化、
企業再編やリストラクチャリングの進行、諸業務におけるデジタル化の
進行など、日本社会は大きく変わってきました。このような社会の変化に
伴い、民法改正に対する市民のニーズや意識も当然変化しているものと
思われます。
 そこで、私たち「氏名を大切にする市民の会」では、インターネット
を通じて、民法改正に対する市民の生の声を募りました。その結果、2週
間強という短い募集期間にも関わらず、海外を含め、73名(男11名、
女62名)ものご応募をいただきました。いずれも真摯な声です。ぜひと
も、今後のご議論の中に活かしていただきたくお願い申し上げます。

寄せられた声の主なものを以下に簡単にご紹介いたします(複数の問題に
またがる声が多かったため、一部重複)。

1. 民法が改正されないと安心して子供が産めない(21件)
 主に、姓を維持するために事実婚を選択している方から挙がった声です。
年齢との関係で、実際に出産を断念されたという方もいらっしゃいました。
また、少子化時代を反映してか、一人っ子同士の結婚に関わる悩みもあり
ました。
 
2. 通称使用を申し入れたが、予想以上の困難に直面した(18件)
  職場や上司が変わる都度交渉が必要、勤め先の合併で戸籍姓使用を言
い渡された、事務処理のデジタル化が進んだため運用での対応が難しく
なった、など企業の自主運用による限界を指摘する声が目立ちました。さ
らに、「法律で認められていないので認めない」として通称使用を拒否さ
れたり、嫌がらせを受けているといった深刻な体験も寄せられました。ま
た、研究者の間ではキャリア継続の困難から頭脳流出の検討が始まってい
る、という声もありました。
 
3. 通称では海外での身分証明が困難(6件)
  海外在住の方や、頻繁に海外出張される方から寄せられました。業務
上の困難以外に、海外で事故に遭った際に関係者に伝わらないのが不安、
病気などで朦朧としているときに戸籍名を呼ばれても反応できない、といっ
た不測の事態に対する不安が寄せられました。また、ご夫婦で渡航された
方からは、「家族ビザ取得の関係で、事実婚での渡航は困難」とのご指摘
がありました。
 
4. 民法改正を織り込んで婚姻届を提出した(14件)
 政治に裏切られた気がする、という声が挙がりました。戸籍姓に対す
る違和感や通称使用の限界に直面するなどして、ペーパー離婚したとい
う方も複数いらっしゃいました。

さらに、「改姓の苦労を理解するために妻の姓に変えてみた」という男性
からの声もいただきました。「経験して初めて分かる苦痛だ」との実感の
こもった声です。また、事実婚などで別姓を実践している夫婦から、明る
いご家庭のご紹介もいただきました。
なお、73名のほとんどの方が、改姓に伴う精神的な苦痛や、審議が進ま
ない現状に対する疑問を語っていらっしゃいます。


急募!民法改正審議促進を望む声  


 来る2000年9月27日に、民間女性団体と女性議員との懇談会が開催されるそうです。
各党の女性議員が幅広く集まる他、プレスが集まることも期待できます。確実とは言えませんが、
数名程度ならばこの席に入り込むことはできそうです。
 そこで、皆様の声をメールで送っていただいたものを冊子にまとめ、この席で議員とプレス関係者に
配布したいと思います。
つきましては、民法改正に対する皆様の日頃の思いやご意見を以下の書式でまとめていただき、
氏名を大切にする市民の会、服部さん宛メールでお送り下さい。(締切2000年9月22日)

==========書式=============

**県××市  服部由香里(37才・女・失業者)

(以下 ご意見、ご経験など。字数制限なし。)

*原則実名ですが、事情のある方やどうしても抵抗のある方は、
 匿名(イニシャルなど)でも構いません。 
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ご参考までに、文例を: 

<文例1 家名編> 

 私は3人姉妹の長女です。妹たちは早々と結婚してしまい、私だけが残ってしまいました。 両親に淋しい思いをさせたくなかったのが大きな理由です。しかし私ももう30才。 6年間交際してきた男性と結婚を考え始めました。彼は一人息子ですので、生家を 嗣がなくてはなりません。一方、私の方も跡継ぎは私しかいない状態です。  申し訳なく思いながら両親に相談したところ、「最近は夫婦別姓にできるようだから、 名字だけ嗣いでくれればいい。 老後、おまえに面倒をかけない位のものは蓄えてきたから後は自分の幸せを第一に考えなさい」 と言われました。私を思いやる両親の気持ちは本当に有難く、彼と結婚しても できるだけのことはしてあげよう、と心から思いました。  ところが、結婚の準備のためにいろいろな本を調べている内に、日本では今でも夫婦別姓が 認められていないのを知りました。私が自分たちの名字を嗣ぐことを信じて、彼との結婚を 祝福してくれた両親に、このことを伝えるのは胸が痛みます。  どうか、私が晴れやかな気持ちで結婚できるよう、一日も早く法律を改正して下さい。

<文例2 待ってるの!編> 

 私は結婚してから今年で10年になります。自分の姓に愛着があったので改姓したくはありませんでした。 しかし結婚した当初は、間もなく民法が改正されると報道されていましたので、法律が変わったら すぐに姓を元に戻そうと考えていました。  ところが、待てど暮らせど法律は変わりません。署名を集めたり、新聞に投書をしたりしながら、 今もその日を待ちわびています。  一体、「別姓を選びたい人は選べる」という法律のどこに問題があるのでしょうか?   私の周りでは、待ちきれずにペーパー離婚や事実婚に踏み切った人もいます。 夫婦2人だけならばそれでもよいのですが、子供が生まれると戸籍上は非嫡出子になってしまいます。 まだまだ偏見の多い世の中で、しかも民法上も差別がある状態で、事実婚で子供を産むことについて 悩んでいる夫婦も多いのです。こんな状態を放置しておいて、晩婚少子化に悩む日本にとって どんないいことがあるのかと苛立たしい思いです。 どうか1日も早く民法を改正して下さい。

<文例3 アイデンティティ編> 

 私は結婚して3年になります。婚姻届を出しに行って、日本では夫婦別姓が未だに認められて いないことを初めて知り、ショックを受けました。二人で話し合って、別姓にしようと決めていたのです。 まだ勤めてから日も浅く、大した実績もなかった私ですが、それでも周りの人にようやく覚えてもらった姓を 変えたくはありませんでした。職場で「結婚前の姓を通称として使いたい」と申し出てみましたが、 相手にもしてもらえませんでした。それどころか「結婚前の姓を使いたいなんて、夫婦の愛情に問題があるん じゃないか?結婚したらダンナさんを立てるものだよ」などと、見当違いの説教までされてしまいました。  よく「通称使用できるのだから民法改正など必要ない」という意見を聞きますが、日本企業の 実態を全く知らない人の意見だと思います。友人の話を聞いても、通称使用を制度化している企業は ほとんどありません。皆、上司が替わる度に「通称禁止」を言われないかとビクビクしている状態なのです。  そんなわけで、親しい友人以外に対しては戸籍姓を使っている私ですが、3年経った今でも 違和感があります。体調が悪くて病院へ行ったときなど、呼ばれてもすぐには反応できません。 また、自分宛の郵便物が夫の姓になっているのを見ると、頭では仕方ないと思っても、なんとも言えない 辛い気持ちになります。毎日毎日、本当の自分が消されていくような気がするのです。  こんな気持ちは、経験したことのない人には分からないと思います。私自身、自分がその立場になるまで 分かりませんでした。周りの人に話すと「いつか慣れるから大丈夫」と言われますが、辛さは増すばかりです。 もう、話すのもやめました。  法律さえ変われば、こんな思いをする人はいなくなります。どうか、1日も早く民法を改正して下さい。 その他、<仕事編><愛情編(自分がいやなことは相手に押しつけたくない)> <外から見る日本編>などいろいろな切り口があると思います。 どうか、御自分の言葉で切々と訴えて下さい。また、カップルそれぞれが訴えるのも効果的だと思います。    インフォメーションに戻る ホームに戻る