仙台市男女共同参画推進条例(案)

 我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれており、男女平等をめざす取組は、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准など国際社会における取組とも連動しつつ進められ、本市においても、市民活動との連携を図りながら着実に展開されてきたが、性別による固定的な役割分担等を背景とする諸課題はいまだ残されており、なお一層の取組が求められている。
 さらに、少子高齢化の進展や経済活動の成熟化等社会情勢の急速な変化に対応し、やさしさと活力に満ちた魅力ある都市・仙台を創造していく上でも、男女が、その個性と人権を尊重し合うとともに、性別にかかわりなく、多様な生き方を自ら選択し、その能力を十分に発揮できる男女平等のまちの実現が重要な課題となっている。
 このような認識のもと、本市は、市民及び事業者との協働により、男女平等のまちをめざして男女共同参画を総合的かつ計画的に推進していくことを決意し、この条例を制定する。

(目的)

 第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、事業者及び市民の役割を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女平等のまちの実現に資することを目的とする。

(定義)

 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
二 積極的改善措置 前号に規定する機会にかかる男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(基本理念)

 第3条 男女共同参画の推進は、人間としての尊厳が重んぜられること、性別を理由とする差別的扱いを受けないこと、個性と能力を発揮する機会が等しく確保され、かつ、公正に評価されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画の推進に当たっては、性別による固定的な役割分担等を反映した制度又は慣行が、男女の社会における活動の自由な選択に対してできる限り影響を及ぼすことのないよう配慮されなければならない。
3 男女共同参画の推進は、男女が、社会の対等な構成員として、市の施策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
4 男女共同参画の推進は、男女が、家庭の重要性を認識し、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動と職域及び地域における活動その他の活動とを両立して行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない

(市の役割)

 第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「男女共同参画推進施策」という。)を総合的に策定し、及び実施しなければならない。
2 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を決定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
3 市は、市民、事業者、国及び他の地方公共団体と連携を図り、これらの者の協力を得て男女共同参画を推進しなければならない。


(事業者の役割)

 第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業に従事する男女について、能力や適性に応じて事業活動に参画する機会を等しく確保し、かつ、公正に評価すること、職場における活動と家庭生活における活動とを両立することができる環境づくりを行うことその他事業活動を行うに当たっての男女共同参画の推進に努めるものとする。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画推進施策に協力するよう努めるものとする。

(市民の役割)

 第6条 市民は、基本理念にのっとり、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努めるとともに、市が実施する男女共同参画推進施策に協力するよう努めるものとする。

(性別による人権侵害の禁止)

 第7条 何人も、次に掲げる行為により人権を侵害してはならない。
一 性別による差別的取扱い
二 セクシュアル・ハラスメント(性的な言動に対する相手方の対応によってその相手方に不利益を与え、又は性的な言動により相手方の生活環境を害する行為をいう。)
三 配偶者等に対する暴力的行為(身体的又は精神的苦痛を与える行為をいう。)

(計画の策定)

 第8条 市長は、男女共同参画推進施策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画(以下「計画」という。)を策定しなければならない。この場合において、市長は、市民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、仙台市男女共同参画推進審議会の意見を聴かなければならない。
2 市長は、計画を定めたときは、速やかに公表しなければならない。

(年次報告)

 第9条 市長は、毎年、男女共同参画推進施策の実施状況を明らかにした報告書を作成し、これを公表しなければならない。

(政策の立案及び決定への共同参画)

 第10条 市は、附属機関等の委員を委嘱し、又は任命する場合には、男女の委員の数の均等を図るよう努めるものとする。
2 市は、性別にとらわれることなく、積極的に職員の能力を開発し、その能力や適性を重視した登用等を行うものとする。

 第11条 市は、市民及び事業者が男女共同参画の推進についての理解を深めることができるよう、普及広報活動、教育及び研修機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(市民及び事業者への支援)

 第12条 市は、事業活動(自営業に係るものを含む。)の場における男女共同参画が推進されるよう、情報の提供、研修機会の提供その他の必要な支援を行うものとする。
2 市は、男女がともに家庭生活における活動と職域や地域等における活動とを両立して行うことができるよう、必要な支援を行うものとする。
3 市は、男女が、互いの性及び妊娠、出産等に関する事項について理解を深め、尊重し合うことにより、生涯にわたって健康な生活を営むことができるよう、必要な支援を行うものとする。
4 市は、第7条に規定する行為の防止のため、広報及び研修機会の提供その他の必要な措置を講ずるとともに、当該行為により被害を受けた者等に対し、関係機関との連携の下に、必要な支援を行うものとする。

(調査研究)

 第13条 市は、男女共同参画の推進に関して必要な調査及び研究を行い、その成果を男女共同参画推進施策に反映させるよう努めるものとする。

(相談及び苦情の申出への対応)

 第14条 市長は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による人権の侵害に関し、市民又は事業者から相談の申し出があった場合には、関係機関との連携の下に、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市長は、市が実施する施策について、市民または事業者から男女共同参画の推進に関する苦情の申し出があった場合には、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。この場合において、市長は、仙台市男女共同参画推進審議会の意見を聴くことができる。

(拠点施設)

 第15条 市は、仙台市男女共同参画推進センター条例(昭和61年仙台市条例第35号)に基づき設置された施設を、市民及び事業者による男女共同参画の推進に関する取組への支援その他の男女共同参画推進施策を実施する拠点施設とする。

(男女共同参画推進審議会)

 第16条 男女共同参画の推進に関する重要な事項について調査審議するために、仙台市男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
 一 第8条第1項に規定する事項
 二 第14条2項に規定する事項
 三 前2号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関し必要な事項
3 審議会は、必要があると認めるときは、前項各号に規定する事項について調査審議し、市長に意見を述べることができる。
4 審議会は、市長が委嘱する委員15人以内をもって組織する。この場合において、男女いずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満とならないよう努めるものとする。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 委員は、再任されることができる。
7 第4項から前項までに定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は市長が定める。

(委任)

 第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

附 則
この条例は、平成15年4月1日から施行する。


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