女性学・ジェンダーフォーラム ワークショップ報告

 8月9日(日)国立婦人教育会館(埼玉県嵐山町)で開かれたフォーラムでワ ークショップをおこないました。12時から14時の2時間でしたが、約150 名の参加者を迎え大盛会でした。その模様をお知らせします。 (なお、全体のフォーラム参加者は2319人と過去最多を記録しました。) 1.寸劇 寸劇「どうなった民法改正」(脚本、役者・民法改正ネットワーク、他)  「楽しくすすめよう!民法改正」のワークショップは、寸劇「どうなった民法 改正」からのスタートです。まず、ワイドショーを見ている民法改正反対議員 2名という設定。翌日の地元回りの話をしているところで、コーラス隊の美しい 「午後のワイドショー」の歌声が聞こえてきます。アナウンサーが「どうなった 民法改正」と題して、選択的夫婦別姓や婚外子差別の撤廃などについての特集と 話をします。 「またそんなばかなことを宣伝しとるのか!」 と民法改正反対議員。  テレビの中では、別姓夫婦のインタビューが行われています。 「結婚したからといって姓が変わると仕事に不都合だし、いままで築いてきたも のがなくなってしまう気がする。会社では旧姓使用が認められていないので、旧 姓のまま書類を書いたら文書偽造になるといわれた。」 「民法改正案通ったら夫婦別姓で結婚届けを出す。」 「彼女に名前を変えることを強要するのはセクハラだし、自分はそうしたくな い。」  一方、別姓宣言にどのような反応をしているのか、内緒で取材したとの設定で 周囲のインタビューがあります。 「相手の人の戸籍に傷がついてんだべさ。だんなさん尻に敷かれて・・」 「親の面倒みたくないだけださ、それにしても生まれてくる子どもがかわいそう だ。親の名前が違うんだから。」 「実家離れできないんだべさ。それともアカか?」 との反応がある反面、 「3回結婚してるのだが、その度に各種名義変更届けをださなければならなくて 大変。」 「勇気があっていいよね。できることなら、名前変わりたくなかった。」 の声もあります。  それを見ていた民法改正反対議員、 「嫁に言ったら嫁ぎ先の人間になるのがあたりまえじゃろうが!」 「こういう女たちが増えているので、芸能人夫婦別姓禁止令を出すべきだ。」 と息巻いています。  そこで、弁護士福島先生からの民法改正についての簡単なレクチャーがありま した。 「婚外子差別をなくしましょう。」 との言葉に 「それじゃあ困る。自分たちには何人も婚外子がいるので地元に顔を出している かーちゃんの機嫌を損ねては選挙に関わってしまう。婚外子〜相続ゼロ運動を始 めたからっていえば許してもらえるかな。」 と慌てます。  次に民法改正に反対の立場の先生から発言があります。 「夫婦別姓は家族を崩壊させるのでございます。家族は一つ。名字も一つ。日本 のよき伝統はこの伝統的家族の中にこそあるのでございます。非嫡出子の相続分 が婚内子の半分であることの意味は家族を守るためなのでございます。」 「よーく言ってくださった!さすが先生!」 民法改正反対議員は盛り上がります。 「差別は家族を守る!夫婦別姓は家族を崩壊させる!国体護持!民法改正阻止し よう!」  テレビでは「最後のお客さまお二人にご登場していただきましょう。」そこに は現職国会議員の妻(民法改正反対議員の妻たち)がふつうのおばさんに戻って 民法改正を訴えます。 「あなた本当に悪いと思っているなら。あなたの子どもたちみんなが幸せになれ るようにしてあげて、そしたら今度も選挙手伝ってあげる。」 「国会議員の妻には人権がありません。民法改正させて自分から離婚請求します から。」 最後は全員で「違うからステキ」の歌をギター演奏で鳴り物&踊り(?)付きで 歌って盛り上がったまま終了とあいなりました。議員バッチは福島瑞穂さん直筆 のイラストを参考に(バッチの花びらは11枚です。)大きなものを胸につけ、 その他衣装早変わりあり、キムタクならぬ「サトタク」や浜田マキ子さんならぬ 「定塚マキ子さん」の登場で、まるで一般人が演じたとは思わぬ大ウケの寸劇で した。(再上演受け付けます。ギャラなど詳細相談) 2.民法改正の経緯(吉岡)  法制審議会のでの5年の審議の後、答申が出たが、いまだに法制化されていな い経緯が報告された。法制審の答申があるのに法案として取り上げられないのは 異例のこと、自民党内では同姓か別姓かの選択肢を設けることすら受け入れられ なかった。自民党が大敗するまでは無理という観測であったが、今回参院選で大 敗したのでチャンスが巡ってくるかもしれない。 3.資料の説明(赤石)  なお、資料作成は小堺(すすめる会) 4.ネットワークの紹介(萬谷)  目標と活動内容について。また、今開会中の臨時国会での請願のために、署名 協力もお願いした。(署名は従来のもの) 5.参加団体の活動報告繙別姓を考える会(樋口)  宮城県議会や仙台市議会の議員たちを説得し、意見書採択に向けての活動の様 子を宮城弁(?)を交えながら、面白おかしく話してくれました。(紙面でお伝 えできないのが残念です。)また、インターネットで各議員や、今回の参院選地 元候補者の民法改正への意見を公開しているなど、多様な活動ぶりが紹介されま した。 6.国会関連の報告(榊原)  国際人権条約、女子差別撤廃条約、子どもの権利条約それぞれについて勧告内 容や政府の報告書内容について、97年に「政府は差別と思っていないが、民法 改正案には入れている」と、法務省はやろうとしているのに政府(自民党)が動 かないと報告しています。子どもの権利条約委員会からも差別が指摘されてお り、この6月に出た勧告に基づき政府は改善を迫られています。勧告には違反し てはなりません。 7.国会からの報告(福島)  まず、通称使用裁判和解の報告。つぎに国家情勢。今、衆議院で議員立法の民 法改正案が出ているが、参議院でも出す予定。個々の議員によって、別姓、離婚 婚外子それぞれについてズレがある。(選択的夫婦別姓、婚外子の相続差別など、 細かい点についての民法改正のポイントについて意見の違いがある等・・ 超党派もなかなか大変) 法務委員になった。国会内でも民法改正を唱えつづけるが、選挙区の議員には、 選挙区の人々が言い続けてほしい。野中広務氏は大敗のとき「民法改正を通さ ないような自民党ではだめだ。」といったらしい。期待したい。 8.質疑応答  養子制度について。家意識について。経済同友会が選択別姓を推進する背景。 既婚者への経過措置が2年は短い。事実婚の婚外子と未婚の婚外子との差別。 《呼びかけ》  議員立法の提出者、賛成者にあなたの選挙区の議員は入っていますか。 賛成者にまだなっていない議員に賛同するよう呼びかけましょう。 選挙区民のひとことが効くんです!!                        P.S   会場で10枚用意したネットワーク申込書はあっという間にはけました。ネッ トワークが全国にひろがるといいですね。参加者は北は北海道から南は沖縄まで 34都道府県わたっています。 (報告 夫婦別姓選択制をすすめる会 萬谷衣加)

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